
テロップを脚本に入れるときは、ト書きの位置に「スーパー」と書き、画面に出す文字を『』でくくって、そのまま書きます。例えば「スーパー『昭和六十年 夏』」です。映像の上に重ねる文字はスーパー、黒い画面に文字だけを出すなら「黒バックにタイトル」のように書き分けます。
画面に出る文字は、脚本家が書いた言葉がそのまま観客の目に届く数少ない場所です。だからこそ、どこに、何が、何の上に出るのかを正確に書きます。テレビの現場では「テロップ」と呼ぶことが多いものの、ドラマや映画の脚本では「スーパー」と書くのが昔からの慣例です。
スーパー:脚本で映像に重ねる文字
スーパーは「スーパーインポーズ(重ね合わせ)」の略で、映像の上に重ねる文字のことです。場所の名前や日付を知らせるときによく使います。柱とト書きで映像を見せてから、その下に書くのが基本です。
○フェリー乗り場(明け方) カモメが、エンジンをかけたまま並ぶトラックの上を回る。 切符売り場のシャッターが上がる。 スーパー『大洗港 ストライキの六日前』
- 「スーパー」と書き、画面の文字は『』でくくって、出したい文字のとおりに書きます。
- 映像の説明のあとに置きます。観客と同じように、読む人にもまず絵を見せるためです。
- 文字は短く。数秒で読めないなら、削るか、黒バックの文字にします。
「テロップ」や「字幕」と書く人もいますが、どれでも通じます。一本の脚本の中では一つの呼び方にそろえましょう。
場所と年代のスーパー
柱には場所と時間を書きますが、観客は柱を読めません。映像だけでは場所や年代が伝わらないとき、その情報を画面に届けるのがスーパーです。初めて出てくる街、何年もの時間の飛躍、締め切りまでの日数など、物語にとって大事で、絵では見せられないときに使います。誰もが知っている景色なら、文字は要りません。
○市民病院・廊下(夜) スーパー『十一年後』 あの自販機。今は凹んでいる。 年を重ねた紗季、硬貨を入れて待つ。
ここでは時間の飛躍を先に伝えたいので、スーパーを映像の説明より前に置いています。観客に先に気づいてほしいほうを前にすれば、どちらの順番でもかまいません。回想と組み合わせる書き方は回想シーンの書き方で説明しています。
黒バックの文字(タイトルカード)
映像のない黒い画面に、文字だけを出すこともあります。ト書きで「黒バック」と書いて絵が消えたことを示し、続けて出す文字を書きます。英語の脚本ではTITLE CARD:と書く部分です。
黒バック。 白い文字『一九五二年、川は一夜にして流れを変えた』 F・I ○干上がった川床(昼)
作品のタイトル
応募原稿でオープニングのクレジットを書くことはまずありません。ただし、アバン(冒頭の短い場面)のあとに作品名がどんと出るような、タイトルの出方そのものが演出になっている場合は、それを書きます。残りのクレジットは編集に任せます。
蓮、トランクを叩きつけるように閉める。鍵がかかる音。 タイトル『遠回りの夏』
映像に重ねてタイトルを出すなら、「誰もいない国道に、タイトルが重なる」とト書きで書きます。シナリオ・ミュージアムの「Last Call」は、冒頭の場面がその瞬間へ向かって組み立てられている例です。
章の見出し
作品を「第一章」「第二章」のように区切り、それぞれを文字で始める作り方もあります。演出上の選択なので、構成そのものが作品の味わいになっているときだけ使い、毎回同じ形で書きます。番号だけ、題だけ、その両方、のどれかにそろえ、物語が本当に曲がるところに置きましょう。
黒バックに『第二章 目撃者』 ○警察署・取調室(昼) 録音機のスイッチが入る。
看板、画面の文字、字幕の脚本での書き方
- 劇中の看板や新聞の見出し:スーパーではなく映像の一部なので、ト書きで書きます。例:「日没後立入禁止」の看板。文字は「」や『』で示します。
- 流れる文字:「星空の上を、文字が下から上へ流れていく」と書いてから、文字を『』で書きます。
- 外国語のセリフ:セリフは日本語で書き、人物名のあとに(英語・字幕)と添えるか、シーンの頭のト書きで「以下、英語。日本語字幕」と一度だけ書きます。
- スマホやパソコンの画面:LINEやメールの書き方はLINEやメッセージの書き方でくわしく説明しています。
テロップを脚本に書くときのよくある失敗
- 場面で見せるべき情報を、文字で説明してしまう。背景の説明を文字に頼るなら、それを見せる場面が作れないか考えます。
- 呼び方がばらばら。あるページはスーパー、次はテロップ、その次は字幕となっている。
- 画面に出ている時間では読み切れないほど長い文字。
- 『』を付け忘れ、ト書きの説明と画面に出す文字の区別がつかない。
ハリウッド形式での書き方
英語の脚本では、映像に重ねる文字をSUPER:、黒い画面の文字をTITLE CARD:と書き、画面の文字を引用符でくくります。考え方は日本のスーパーと同じで、映像の説明のあとに置き、短く書くことが求められます。書式全体は脚本の書き方のルールにまとめています。
Scenaloomで書く
Scenaloomでは、スーパーはト書きの行に書けます。黒バックのタイトルや「終」のように文字だけを中央に置きたいときは、字幕の要素を使うと、1行が中央に組まれます。どちらもPDFの書き出しでエディターと同じように印刷されます。要素の一覧は書式のドキュメントをご覧ください。脚本を書きはじめる
よくある質問
テロップの脚本での書き方を教えてください
ト書きの位置に「スーパー」と書き、画面に出す文字を『』でくくって、そのとおりに書きます。例:スーパー『昭和六十年 夏』。映像の説明のあとに置き、数秒で読める長さにします。
スーパーとテロップは違うものですか?
どちらも画面に重ねる文字を指し、意味はほぼ同じです。ドラマや映画の脚本では「スーパー」と書くのが昔からの慣例で、テレビの現場では「テロップ」とよく呼びます。一本の脚本の中では、呼び方をそろえましょう。
外国語のセリフの字幕はどう書きますか?
セリフは日本語で書き、人物名のあとに(英語・字幕)と添えます。シーン全体が外国語なら、シーンの頭のト書きで「以下、英語。日本語字幕」と一度書けば、セリフごとにくり返す必要はありません。
応募原稿にオープニングのクレジットは書きますか?
書かないのが一般的です。クレジットは編集の段階で決まります。冒頭の場面のあとに作品名がいきなり出るなど、タイトルの出方が演出になっているときだけ、「タイトル『作品名』」と書きます。
黒い画面に文字だけを出したいときは?
ト書きで「黒バック」と書いて映像が消えたことを示し、続けて出す文字を『』で書きます。英語の脚本ではTITLE CARD:と書く部分です。