コールドオープンとは、タイトルや前置きより先に物語を始め、すでに動き出している問題の真ん中へ観客を放り込む冒頭シーンのことです。日本のテレビドラマでいう「アバン(アバンタイトル)」、つまり主題歌やオープニングの前に流れる場面がこれにあたります。映画では、状況の説明を伏せたまま始まり、読み手に追いかけさせる最初のシーンを指します。

アバン(コールドオープン)とは

コールドオープンは説明の代わりに、観客がどうしても答えを知りたくなる問いを差し出します。そしてその問いが刺さった瞬間に終わります。

コールドオープンの例をビートごとに読む

『Last Call』は、マーラがなぜこのダイナーを切り盛りしているのかに一行も使いません。最初のト書き「すでにきれいなカウンターを拭いている(wipes a counter that is already clean)」だけで、身の上話を一言も書かずに、この人が何かを待っていることが伝わります。

  1. 登場が問いを生みます。ジョナスは紙袋を「噛みつかれそうな物のように(like it might bite)」持っています。中身はわかりません。わかるのは、彼がそれを怖がっていることだけです。
  2. 中身が明かされて賭け金が上がります。札束がこぼれ、「コーヒー代じゃないね(That's not coffee money)」の一言で、世間話が問題に変わります。
  3. ひねりがすべてを塗り替えます。「あんたの父さんは6年前に死んだよ」「じゃあ、これをくれたのは誰?」。本当の問いは、最後の2行のセリフでやって来ます。
  4. 外からの圧力で幕を切ります。ヘッドライトが窓の前で止まり、SMASH CUT TO: で一気に厨房へ逃げ込む場面に飛びます。緊張が頂点に達したところで切り、その先は描きません。

このコールドオープンの例では、書かれていないものにも注目してください。町の名前も、ジョナスの父親が何者だったかの説明もありません。脚本は、読み手が自分から身を乗り出してくれると信じています。

書式のポイント

長編映画の脚本では、コールドオープンに見出しはつけません。最初のシーン見出しから、いきなり動きの途中で始めるだけです。テレビドラマの脚本では、冒頭に COLD OPEN、タイトルが入る位置に END OF COLD OPEN と明記するのが一般的です。日本の連続ドラマの台本でも「アバン」と書いて区切ることがあります。幕構成の中での位置はテレビドラマのパイロット脚本の書き方で説明しています。

COLD OPEN

INT. バスの営業所 - 夜

券売機が切符を次々と吐き出している。前には誰もいない。

夜勤の警備員、HARUE(40代)が水筒を置く。

HARUE
またか。

END OF COLD OPEN

SMASH CUT TO: のような強いトランジションは、右寄せで独立した1行に書きます。この脚本のように、カットそのものが衝撃になる場面のためにとっておきましょう。Scenaloomではトランジションは入力時に要素として扱われ、自動で右に揃います(書式設定を参照)。そのほかの要素は脚本フォーマットのガイドで解説しています。

アバンでよくある失敗

  • 天気から始める。嵐や街の遠景は雰囲気であって、問題ではありません。『Last Call』にも雨は降っていますが、シーンが始まるのはドアのチャイムが鳴ったときです。
  • 早くから説明しすぎる。1ページ目で登場人物が過去のいきさつを振り返り始めたら、アバンはただの説明になっています。
  • フックを過ぎても続ける。問いで終わらせましょう。答えは次のシーンの仕事です。

やってみよう:自分のアバンを書く

  1. 物語の問題が無視できなくなる瞬間を選び、その一歩手前から始めます。
  2. ジョナスの紙袋のように、問いを生む小道具かセリフをひとりの人物に持たせます。身の上話は書きません。
  3. 1ページ以内で、緊張が最も高まったところで切ります。『Last Call』を脚本エディタで自分のプロジェクトとして開き、紙袋の中身を別のものに変えて書き直してみましょう。

よくある質問

ドラマのアバン(コールドオープン)とは何ですか?

主題歌やオープニングタイトルの前に流れる場面のことで、本編が始まる前に視聴者をつかむために書かれます。長さは脚本で1〜3ページほどが多く、それだけで完結する場合も、本筋の前振りになる場合もあり、タイトルや最初のCMで終わります。英語の台本では COLD OPEN や TEASER と表記されるのが一般的です。

アバンはどう書けばいいですか?

問題が起きる前からではなく、問題の内側から始めます。トラブルがやって来る瞬間を選び、それを感じるのに必要な人物だけを出し、問いを生む具体的な小道具かセリフをひとつ持たせ、緊張が頂点に達したところで切ります。いきさつは後のシーンに回しましょう。観客が追いかける側にいるからこそ、アバンは効きます。

アバンの長さはどのくらいが適切ですか?

多くは半ページから3ページほどで、尺にすると30秒から3分程度です。『Last Call』は1ページ足らずでフックを決めています。それより長くなるなら、序盤の行がシーンに不要な説明になっていないかを確かめてください。

日本のドラマのアバンとハリウッドのコールドオープンは違いますか?

役割はほぼ同じで、どちらも本編やタイトルの前に視聴者を引き込む場面です。日本の連続ドラマでは、前回のあらすじを短く見せてから本編の冒頭場面につなぐ構成もよく見られます。脚本上は、どちらの場合も説明より問いを先に置くことが基本です。