
脚本の「続き」の表記は、日本の書式と英語の書式で大きく違います。日本の原稿用紙の書式では、セリフがページをまたいでも、同じ人物がト書きのあとに続けて話しても、特別な記号は付けず、そのまま書き続けます。英語の脚本では、ページの最後に(MORE)、次のページの人物名に(CONT'D)を付けて、同じ人物の話が続いていることを示します。
どちらの表記も目的は同じで、読む人が「今だれが話しているのか」を見失わないようにすることです。このページでは、日本の書式での扱いを確認してから、英語の脚本の(MORE)と(CONT'D)の使い方、連続ドラマの「つづく」、混同しやすい表記を説明します。
日本の脚本の続きの表記:ページをまたぐセリフ
日本の脚本では、セリフは人物名「…」の形で書くので、セリフの途中でページが変わっても、閉じ括弧が来るまで同じ人物の言葉だとわかります。そのため、ページの終わりや始まりに記号を足す習慣はありません。2行目以降の1字下げをそのまま次のページでも続けます。
秀子「手紙は全部とってあるの。毎年冬になると、 順番に読み返すのよ。儀式みたいに。 (ページの区切り) でも今年は、最後の一通が見つからなかった」
ただし、読みやすさのために、柱だけがページの最後の行に残ったり、セリフの最後の一行だけが次のページに送られたりしないように整えるのは、日本の書式でも同じです。
ト書きをはさんで同じ人物が話し続けるとき
同じ人物が話し、ト書きが入り、また同じ人物が話す場合も、日本の書式では人物名をもう一度書くだけです。「(続けて)」のような括弧書きを付ける書き手もいますが、なくても伝わります。
健二「エンジンは大丈夫だ。燃料のホースだな」 健二、車の下にもぐり込む。金属の音。舌打ち。 健二「……エンジンもだった」
英語の脚本の(MORE)と(CONT'D)
英語のハリウッド形式では、人物名とセリフが別の行に分かれているため、ページをめくった先にセリフだけがあると、だれの言葉かがわかりません。そこで、ページの最後のセリフの下に(MORE)を入れ、次のページの頭で人物名をくり返して(CONT'D)を付けます。CONT'Dはcontinued(続き)の略です。
@秀子 手紙は全部とってあるの。毎年冬になると、順番に読み返すのよ。儀式みたいに。 (MORE) !(ページの区切り) @秀子 (CONT'D) でも今年は、最後の一通が見つからなかった。
- (MORE)は人物名と同じ位置に、大文字で括弧に入れて、セリフのすぐ下に置きます。
- 次のページの頭で人物名をくり返し、名前のあとに(CONT'D)を付けます。
- セリフは文の切れ目で分け、文の途中では分けません。区切りの前後に2行ずつ残せないなら、セリフ全体を次のページに送ります。
- 括弧書きだけがページの最後に残らないようにし、続くセリフと一緒に送ります。
これらの記号はページの区切りで決まるので、上のほうを書き直すたびに位置が変わります。手で打つと、直しのたびにやり直しになるのが、脚本ソフトに任せたほうがいい一番の理由です。
ト書きのあとの(CONT'D)
英語の脚本では、同じシーンで同じ人物が話し、ト書きが入り、また同じ人物が話すときにも、二度目の人物名に(CONT'D)を付けることがあります。あいだにほかの人物が話していないときだけで、新しいシーンの最初のセリフには付けません。最近の売り込み用の脚本では、この使い方を省くことも多く、ページをまたぐときの(MORE)と(CONT'D)だけを残すのが一般的です。どちらを選んでも、一本の中でそろえることが大切です。
連続ドラマの「つづく」
シナリオの「続く」の表記でもうひとつ迷いやすいのが、連続ドラマの回の終わりです。日本の連続ドラマの脚本では、その回の最後の場面のあとに「つづく」と書いて終えます。最終回だけは「終」や「完」と書きます。1話完結のドラマや映画なら「終」です。
○港町図書館・閲覧室(夜) 灯りの消えた書架。 蓮の置いていった地図だけが、机の上に残っている。 つづく
連続ドラマの組み立て方はドラマ脚本の書き方で説明しています。
まぎらわしい「続き」の表記
- CONTINUED::古い英語の撮影台本で、シーンがページをまたぐときにページの上下に入れていた表記。今の売り込み用の脚本ではほとんど使いません。
- CONTINUOUS:英語のシーン見出しで、前のシーンから時間が飛ばずに続くことを示す時間帯の表記です。セリフの記号ではありません(柱書きのガイド)。
- (V.O.)や(O.S.)との組み合わせ:画面外の声が続くときは、DANA (O.S.) (CONT'D) のように並べます。日本の書式なら、秀子(声)「…」とくり返すだけです。
よくある間違い
- (MORE)や(CONT'D)を手で打ち、あとから上を書き直したせいで、ページの途中に残ってしまう。
- あいだにほかの人物が話したのに(CONT'D)を付ける。
- 新しいシーンの最初のセリフに(CONT'D)を付ける。
- 連続ドラマの回の終わりに「終」と書いてしまい、最終回のように見える。
Scenaloomで書く
Scenaloomは、ハリウッド形式でセリフがページをまたぐと、(MORE)と人物名(CONT'D)を自動で入れ、区切りの前後に少なくとも2行ずつ残します。同じシーンで同じ人物がト書きのあとに話を再開したときだけ、(CONT'D)を付けます。アジア形式では、続きのセリフの人物名に(続き)と表示されます。エディターの画面とPDFは同じレイアウトの仕組みを使うので、記号は印刷される位置に入ります。くわしくは表示とページ分けをご覧ください。脚本を書きはじめる
よくある質問
脚本でセリフがページをまたぐときは、何か書きますか?
日本の原稿用紙の書式では、特別な記号は付けず、そのまま次のページに書き続けます。セリフは「」でくくられているので、閉じ括弧までが同じ人物の言葉だとわかるからです。英語の脚本では、ページ末に(MORE)、次のページの人物名に(CONT'D)を付けます。
CONT'Dとはどういう意味ですか?
continued(続き)の略で、英語の脚本で同じ人物のセリフが続いていることを示す表記です。ページをまたいだときや、同じシーンでト書きをはさんで同じ人物が話を再開したときに、人物名のあとに付けます。
(MORE)とは何ですか?
英語の脚本で、セリフが次のページに続くことを示す表記です。ページの最後のセリフのすぐ下、人物名と同じ位置に書きます。次のページでは人物名をくり返し、(CONT'D)を付けて続けます。
連続ドラマの脚本の最後は「つづく」と書きますか?
はい。日本の連続ドラマでは、その回の最後の場面のあとに「つづく」と書くのが一般的です。最終回や1話完結の作品、映画では「終」と書きます。
同じ人物がト書きのあとに話すとき、名前をもう一度書きますか?
日本の書式では、人物名をもう一度書いて「」を続けます。「(続けて)」と添える書き手もいますが、なくても伝わります。英語の脚本では、二度目の人物名に(CONT'D)を付けることがあります。