リネンの机に置かれた脚本の原稿と鉛筆、クリップ

脚本のフォントは、日本語のシナリオなら明朝体の10.5〜12ポイント、英語のハリウッド形式ならCourierの12ポイントが基本です。どちらも、1ページに入る分量を一定に保ち、枚数がそのまま尺の目安になるように選ばれています。

日本の脚本はもともと手書きの原稿用紙で書かれていたため、フォントの決まりは英語圏ほど厳しくありません。それでも、読みやすさと字数のそろいやすさから、選ぶべき書体はほぼ決まっています。

日本語のシナリオに合うフォント

コンクールの応募原稿や制作会社に渡す原稿は、明朝体で書くのが一般的です。縦書きでも横書きでも読み慣れた書体で、長い原稿を読んでも目が疲れにくいからです。よく使われるのは次のような書体です。

  • MS明朝:Windowsに入っている定番の明朝体。全角の文字幅がすべて同じなので、20字×20行のマス目がずれません。
  • 游明朝:WindowsとMacの両方に入っている明朝体。画面でも印刷でも上品に見えます。
  • ヒラギノ明朝:Macの標準的な明朝体。Macで書いてPDFで送るときに向いています。
  • Noto Serif JP(源ノ明朝)やIPAex明朝:無料で使えるオープンなフォント。環境を問わず同じ見た目にしたいときに便利です。

ゴシック体はメモや打ち合わせ資料には読みやすいものの、応募原稿の本文にはあまり使われません。指定がなければ明朝体にしておくのが無難です。

プロポーショナルフォントを避ける理由

「MS P明朝」のように名前に「P」が付くフォントは、文字ごとに幅が変わるプロポーショナルフォントです。1行に入る文字数が行ごとに変わってしまうため、20字×20行で書いたつもりでも、実際の字数がそろいません。枚数で尺を測る脚本では、これが大きな問題になります。字数の指定がある原稿では、全角の幅が一定の等幅フォントを選んでください。

脚本のフォントサイズ

日本語の原稿は10.5〜12ポイントが一般的です。A4横に20字×20行の縦書きで組むなら、12ポイントでも余白に無理なく収まります。応募要項でサイズが決められていればそれに従い、表紙から本文まで同じサイズで通します。枚数を減らすために文字を小さくしたり行間を詰めたりするのは、規定違反になるうえ、読む人にもすぐ気づかれます。長すぎるなら、シーンを削りましょう。

太字や下線は使う?

日本の脚本では、見出しを大きな文字にしたり太字にしたりすることはほとんどありません。柱は行頭の○で、セリフは人物名と「」で区別できるからです。強調したい言葉があっても、書体を変えるより、ト書きの書き方で伝えるほうが脚本らしくなります。タイトルだけを表紙で少し大きくする程度にとどめましょう。表紙の組み方は脚本の表紙の書き方にまとめています。

海外向け:ハリウッド形式はCourier 12ポイント

英語圏の脚本は、Courierの12ポイントで書くことが事実上の決まりです。Courierはタイプライター由来の等幅フォントで、どの文字も同じ幅をとり、1インチに10文字、6行が入ります。この格子があるから、1ページがおよそ1分という目安が成り立ちます。Times New Romanのようなプロポーショナルフォントにすると、同じ場面でも紙の上では短く見え、尺の見積もりが狂ってしまいます。

  • Courier:1950年代のタイプライター用書体が元になった、もっとも古い形。
  • Courier New:WindowsやOfficeに付いている版。線が細く、画面や印刷で薄く見えがちです。
  • Courier Prime:脚本家のために2013年に作られた書体で、SIL Open Font Licenseのもと無料で使えます。線がしっかりしていて読みやすく、文字幅は通常のCourierと同じなので、切り替えても枚数は変わりません。

英語のフォントで日本語の脚本を書かない

Courierには日本語の文字が入っていません。日本語は全角で、1行に入る字数も句読点の扱いも英語とはまったく違うため、Courierの「1ページ1分」の計算はそのまま当てはまりません。日本語の脚本は、日本語用の書式と明朝体で書き、尺はペラ換算の枚数で測るのが確実です。

Wordで脚本のフォントを設定する

  1. [ホーム]のフォント欄で、本文を明朝体(MS明朝や游明朝など)にし、サイズを10.5〜12ポイントにします。
  2. [レイアウト]の[ページ設定]で、文字数と行数(20字×20行など)を指定します。フォントを変えたあとに設定すると、マス目がずれにくくなります。
  3. 表紙、人物表、本文のすべてを同じフォントにそろえます。
  4. PDFで書き出すときは、フォントを埋め込む設定にします。

書式全体のルールは脚本の書き方のルールで確認できます。

送る前にフォントを確認する

フォントは、自分の画面と相手の画面で変わってしまう数少ない要素です。原稿を送る前に、次の点を見ておきましょう。

  • 書き出したPDFの文書のプロパティで、使ったフォントが「埋め込み」になっているか。
  • PDFの枚数が、書いていたときの枚数と同じか。変わっていれば、どこかでフォントが置き換わっています。
  • ルビや記号(× × ×、……)が化けたり、ずれたりしていないか。
  • 指定がなければ、WordのファイルではなくPDFで送る。Wordのファイルは、相手のパソコンに入っているフォントで組み直されてしまいます。

Scenaloomで書く

Scenaloomは、ハリウッド形式の脚本をCourier Primeの12ポイント(1インチに10文字、6行)で組みます。フォントを入れる手間はありません。日本語の文字は全角として2文字分の幅で計算されるので、日本語の脚本でもページの見た目が崩れません。PDFの書き出しはエディターと同じレイアウトの仕組みを使うため、書いているときの枚数がそのまま送る枚数になります。くわしくは表示とページ分けをご覧ください。新しい脚本を開く

よくある質問

脚本は何のフォントで書けばいいですか?

日本語のシナリオなら、MS明朝や游明朝などの明朝体が一般的です。英語のハリウッド形式なら、Courier 12ポイントかCourier Primeを使います。どちらの場合も、応募要項に指定があればそちらを優先してください。

脚本のフォントサイズは何ポイントですか?

日本語の原稿は10.5〜12ポイントがよく使われ、英語の脚本は12ポイントと決まっています。表紙から本文まで同じサイズでそろえ、枚数を合わせる目的で小さくするのは避けてください。

MS P明朝で書いてもいいですか?

字数の指定がある原稿では避けたほうが安全です。「P」の付くフォントは文字ごとに幅が変わるため、20字×20行に設定しても1行の字数がそろわず、枚数で尺を測れなくなります。MS明朝のような等幅のフォントを選びましょう。

ゴシック体で脚本を書いてはいけませんか?

禁止されているわけではありませんが、応募原稿の本文は明朝体が一般的です。ゴシック体は打ち合わせ用の資料やメモに向いています。迷ったら明朝体にしておけば間違いありません。

Courier Primeは無料ですか?

はい、無料です。2013年にSIL Open Font Licenseで公開されていて、使うこともPDFに埋め込むことも自由です。通常のCourierと文字幅が同じなので、切り替えても脚本の枚数は変わりません。