リネンの机に置かれた脚本の原稿と鉛筆、クリップ

脚本の表紙の書き方の基本は、作品のタイトルを大きめに中央へ置き、その下か左下に作者名を書くことです。コンクールの応募原稿ならこれに応募要項で求められた項目を加え、撮影用の台本なら話数や稿(準備稿・決定稿)、制作会社名を入れます。

表紙は物語の書かれていない唯一のページです。役目は、何という作品で、誰が書き、どの段階の原稿なのかを伝えることだけです。すっきりと正しく整えておけば、書式をわかっている書き手だと伝わります。

脚本の表紙の書き方:書く項目

  • タイトル:中央に、本文より少し大きめに。副題があれば、その下に添えます。
  • 作者名:タイトルの下、または左下に「作 氏名」「脚本 氏名」と書きます。ペンネームを使う場合も、応募原稿では要項に従って本名を併記します。
  • 原作:原作がある場合は「原作 〇〇〇〇『作品名』」を作者名の近くに。
  • 連絡先:応募要項で表紙に書くよう指定されたときだけ、下のほうにまとめます。応募用紙が別にあるなら、表紙には書きません。
  • 稿と日付:撮影用の台本や打ち合わせ用の原稿に入れます。応募原稿にはふつう不要です。

表紙のレイアウト

縦書きの原稿なら表紙も縦書き、横書きなら横書きにそろえます。決まった寸法はありませんが、多くの表紙は次のような形です。

  • タイトルはページの中央か、やや上寄りに置きます。
  • 作者名はタイトルから数行あけて、少し小さめに書きます。
  • 飾りの罫線、イラスト、色文字は入れません。
  • 表紙にはページ番号を付けず、本文の枚数にも数えません。

脚本の表紙の例

オリジナル作品の応募原稿の表紙です。ワープロで横書きにしていますが、縦書きでも配置の考え方は同じです。



        港町ライブラリー



                作 吉田理沙



原作のある作品なら、原作者と作品名を添えます。


        潮の道

      原作 森川葵『潮の道』

               脚本 中村蓮

シナリオコンクールの表紙の書き方

シナリオコンクールでは、表紙の扱いを応募要項で細かく決めていることがよくあります。よく見かける指定は次のようなものです。

  • 表紙にタイトルと氏名(ペンネームの場合は本名も)を書く。
  • 表紙のあとに、人物表とあらすじ(400〜800字程度など)を付ける。
  • 住所や電話番号は表紙ではなく、別の応募用紙や応募フォームに書く。
  • 原稿の右肩などに通し番号を入れ、全体をクリップや綴じ紐でまとめる。

あらすじの書き方はシノプシスのガイド、人物表は人物紹介の書き方で説明しています。

撮影用台本(印刷台本)の表紙

制作に入った脚本は、印刷・製本されて「台本」としてキャストとスタッフに配られます。台本の表紙には、応募原稿にはない情報が入ります。

  • 番組名やシリーズ名と、「第3話」のような話数、サブタイトル。
  • 準備稿、決定稿、改訂稿などの稿の名前。どの版を持っているかがひと目でわかるようにします。
  • 脚本家、監督(演出)、プロデューサーの名前。
  • 制作会社や放送局の名前、取り扱いの注意(社外秘など)。

稿の重ね方については決定稿と改訂稿のガイドをご覧ください。

連続ドラマの表紙

連続ドラマの脚本では、シリーズのタイトルを先に書き、その下に「第1話『閉館十分前』」のように話数とサブタイトルを入れます。企画段階で1話目だけを書く場合も、話数を入れておくと、シリーズの1本であることが伝わります。


        港町ライブラリー
        第1話『閉館十分前』

                脚本 吉田理沙

                   準備稿

海外向け:英語のタイトルページ

英語圏に出すハリウッド形式の脚本では、表紙を「タイトルページ」と呼び、本文と同じCourier 12ポイントで組みます。タイトルを大文字でページの3分の1ほどの高さの中央に置き、数行下に「Written by」、その下に作者名を書きます。連絡先(名前、メールアドレス、電話番号)は左下にまとめます。日付、稿の番号、著作権の表示、イラストは、売り込み用の脚本では入れないのが一般的です。

原作がある場合は「Screenplay by」とし、下に「Based on the novel by」で原作者を添えます。「Written by」は物語と脚本の両方を書いた場合に使う表記です。

Scenaloomの表紙の項目

Scenaloomの表紙は、自由に組むページではなく短いフォームになっていて、入力した項目がそれぞれ決まった位置に印刷されます。

  • タイトル:中央のブロックのいちばん上に入ります。
  • サブタイトル:タイトルの下に入ります。話数とサブタイトル、原作の表記に使えます。
  • 作者:「脚本」の表記とともにタイトルの下に入ります(ハリウッド形式では「Written by」)。
  • 版・稿:作者名の下に入る、任意の1行です。
  • 連絡先:左下に1項目ずつ入ります。
  • 稿と日付:右下に入ります。撮影用の版で準備稿や決定稿、改訂日を示すのに使います。

Scenaloomで書く

表紙を一度入力すれば、PDFの書き出しで最初のページに付けることも、外すこともできます。Fountainファイルを読み込むと、タイトル、作者、連絡先、日付が表紙に自動で入ります。脚本テンプレートもあわせてどうぞ。英語のタイトルページを手早く作りたいときは、無料の表紙ジェネレーターでPDF、Fountain、Final Draftの形で保存できます。脚本を書きはじめる

よくある質問

脚本の表紙には何を書けばいいですか?

基本はタイトルと作者名の2つです。原作があれば原作者と作品名を添えます。コンクールでは応募要項で求められた項目(本名、ペンネーム、部門など)を、撮影用の台本では話数、稿、制作会社名などを加えます。

シナリオコンクールの表紙に住所や電話番号は書きますか?

応募要項しだいです。表紙に書くよう求める賞もあれば、別の応募用紙やフォームに書かせる賞もあります。指定がない場合は、タイトルと氏名だけにして、連絡先は応募用紙にまとめるのが一般的です。

表紙は枚数に含まれますか?

ふつうは含みません。コンクールの規定枚数は本文の枚数を指すことが多く、表紙、人物表、あらすじは別に数えます。ただし賞によって数え方が違うので、応募要項で確認してください。

表紙に日付や「第2稿」と書いてもいいですか?

応募原稿や売り込み用の原稿には入れないのが無難です。稿や日付が必要なのは、撮影用の台本や打ち合わせ用の原稿で、どの版を持っているかをスタッフが確かめるためです。

「作」と「脚本」はどう使い分けますか?

オリジナル作品の応募原稿では「作」とすることが多く、原作のある作品や制作用の台本では「脚本」と書くのが一般的です。厳密な決まりではないので、作品の中で表記をそろえておけば問題ありません。