
シナリオソフトや脚本アプリを無料で選ぶときは、まず自分が書く書式(日本式の縦書きか、横書きか、ハリウッド形式か)に対応しているか、提出先が求めるファイル形式で書き出せるか、無料プランでどこまで書けるかの3点を確かめましょう。そのうえで、共同執筆、構成ツール、AIの扱い、使える端末を比べます。
この記事は、Scenaloomを作っているチームが書いています。その立場を踏まえて読んでください。どのソフトを選ぶ人にも役立つ基準になるよう心がけ、Scenaloomが合わない場合も後半ではっきり書いています。
シナリオソフトでできること
脚本は、柱・ト書き・セリフという決まった書式で書きます。シナリオソフトは、この書式を自動で整え、ページ(ペラ)を数え、改稿の履歴を残し、提出用のファイルを書き出すための道具です。ワープロでも脚本は書けますが、字下げや改ページを毎回手で直す手間がかかります。
大きく分けると、パソコンに入れて使うデスクトップのソフト、ブラウザで使うオンラインのソフト、スマートフォンやタブレットのアプリ、テキストエディタで書いて変換するFountain形式のツール、ワープロに脚本用の書式を設定して使う方法があります。
選ぶときに確かめたい8つの点
1. 書式とページの正確さ
日本の脚本は、200字詰め原稿用紙(ペラ)に縦書きで、柱を「○」で始め、ト書きを3字下げ、セリフを人物名「」で書くのが伝統的な形です。シナリオコンクールの多くは、ワープロ原稿の場合に縦書きで1行あたりの字数と行数(たとえば20字×20行)を指定しています。応募するなら、その規定どおりに書き出せるかを最初に確かめてください。
一方、海外の映画祭や英語の脚本は、ハリウッド形式(US Letter、Courier 12ポイント、決まった余白)で書きます。両方を書く人は、どちらの形式にも対応したソフトか、形式ごとに道具を使い分ける必要があります。
2. ファイルのやりとり:FDX、Fountain、PDF、Word
脚本は、プロデューサー、監督、共作者とやりとりするものです。英語圏ではFinal Draftの.fdx形式が標準で、日本ではWordやPDFでのやりとりが一般的です。Fountainは、どのテキストエディタでも読めるオープンな脚本の形式で、将来ソフトを乗り換えても原稿を取り出せる保険になります。読み込みと書き出しの両方ができるか、書き出したときに書式が崩れないかを確かめましょう。
3. 共同執筆
共作や、プロデューサーからの直しを受けることが多いなら、同時に編集できるか、コメントを残せるか、誰がどこを変えたかが分かるか、以前の版に戻せるかを確かめます。ファイルをメールで送り合うやり方は、どれが最新版か分からなくなりがちです。
4. 使う端末とオフライン
Mac、Windows、Chromebook、iPadのどれで書くか、通信のない場所(移動中の新幹線や飛行機)で書くことがあるかを考えます。ブラウザのソフトはどの端末でも同じ原稿を開けますが、たいていは通信が必要です。デスクトップのソフトはオフラインで書けますが、端末ごとにインストールと同期の手間がかかります。
5. 構成のツール
プロットや箱書き、シーンのカードを並べるボード、登場人物の一覧など、構成を考える道具が原稿と結びついているかを見ます。原稿とは別のファイルに構成を書くと、改稿のたびにずれていきます。
6. AI機能とデータの扱い
AI機能があるソフトでは、AIがどこまで原稿を書き換えるのか、提案を採用するかどうかを自分で決められるのか、原稿がAIの学習に使われるのかを、利用規約やプライバシーポリシーで確かめましょう。
7. 価格と無料プラン
無料のシナリオソフトには、オープンソースのデスクトップソフト、Fountain形式のテキストエディタ、有料ソフトの無料プランなどがあります。無料プランの場合は、作れるプロジェクトの数、1本あたりの長さ、書き出せる形式に制限がないかを確かめてください。長編を書きはじめてから制限に気づくと、乗り換えが大変です。
8. 撮影準備への書き出し
自分で撮る人は、シーン一覧、登場人物の一覧、ロケ地の一覧などを、香盤表やショットリストの材料として書き出せるかも見ておくと便利です。
決める前に確かめたいこと
- 自分の書式(縦書き・横書き・ハリウッド形式)で、実際に数ページ書いてみたか。
- 書き出したPDFやWordが、提出先の規定どおりになっているか。
- 原稿をFountainやWordなど、ほかのソフトで開ける形式で取り出せるか。
- 無料プランの制限は、自分が書く長さに足りるか。
- 共作者やプロデューサーも、無理なく使えるか。
- 通信がないときに書けなくても困らないか。
シナリオソフトは無料で使えるか
あります。オープンソースのデスクトップソフト、Fountain形式に対応したテキストエディタ、有料サービスの無料プランなどです。また、WordやGoogleドキュメントに脚本用の書式を設定して書く人も多くいます(Googleドキュメントで脚本を書く方法はGoogleドキュメントでの脚本の書式で紹介しています)。どれを選ぶ場合も、長い原稿を書きはじめる前に、書き出しの形式と無料の範囲を確かめておきましょう。
Scenaloomが向いている人
Scenaloomは、ブラウザで書き、ほかの人と一緒に作業したい人のためのオンラインのシナリオソフトです。次のような人に向いています。
- Mac、Windows、Linux、Chromebookのどれでも、最新のChrome、Safari、Edge、Firefoxで、何もインストールせずに書きたい人。
- リアルタイムで共同執筆したい人。ほかの人のカーソルが見え、@メンション付きのコメント、権限の設定、戻せるバージョン履歴があります。
- 構成と原稿をつなげておきたい人。アウトライン、ビートボード、シーンボード、キャラクターのページは、写しではなく脚本そのものから読み取られます。
- AIに任せる範囲を自分で選び、提案を見てから決めたい人。AIは変更を提案するだけで、適用は別の操作として行い、バージョン履歴に記録されます。
- 絵コンテ、ショットリスト、シーンやキャスティングのCSV、画像の生成まで、撮影準備に進みたい人。
- 日本語の脚本を横書きで書きたい人。アジア形式では、シーン番号と各シーンの登場人物の行が入り、セリフは人物名と同じ行に続けて書けます。
Final Draft、Fountain、PDFの脚本を読み込め、PDF、Final Draft(.fdx)、Fountain、Word、テキスト、Markdownで書き出せるので、原稿が閉じ込められることはありません。一覧は読み込みと書き出しをご覧ください。
Scenaloomが向いていない人
- 縦書きや200字詰め原稿用紙の書式で書きたい人。Scenaloomは縦書きとペラの書式には対応していません。縦書きの規定があるコンクールに応募するなら、提出用の原稿はワープロなどで整える必要があります。
- オフラインで書く必要がある人。Scenaloomにはオフラインモードもデスクトップアプリもなく、通信が必要です。
- 長い実績のあるソフトを求める人。Scenaloomは新しいサービスで、定番のソフトが対応している撮影の流れの一部には、まだ対応していないことがあります。
- 一人でしか書かず、構成も作らず、いちばん小さな道具がほしい人。シンプルなFountainのエディタのほうが合うかもしれません。
- 長編を無料プランで書きたい人。無料プランは脚本1本あたり400行まで、脚本プロジェクトは2つまでなので、短編向きです。
Scenaloomを試してみる
どのシナリオソフトも、判断するいちばんの近道は、実際に数ページ書いて書き出してみることです。Scenaloomの無料プランはカードの登録がいらず、共同執筆も使えます。短い脚本を書くか、数シーンを読み込んで、お手持ちのPDFと見比べ、FDXでの往復も試してから、長編のための有料プランを検討してください。プランの比較は料金ページにあります。無料で書きはじめる
よくある質問
プロの脚本家はどんなソフトを使っていますか?
英語圏ではFinal Draftが業界標準として広く使われています。日本では、Wordや一太郎などのワープロに脚本用の書式を設定して書く人や、縦書きに対応したエディタを使う人が多く、提出もWordやPDFが中心です。現場ごとに決まりがあるので、提出先に確認するのが確実です。
シナリオソフトは無料で使えますか?
はい、無料で使えるものがあります。オープンソースのデスクトップソフト、Fountain形式のテキストエディタ、有料サービスの無料プランなどがあります。Scenaloomにもカード登録不要の無料プランがあり、共同執筆も使えますが、脚本1本あたり400行、脚本プロジェクト2つまでの制限があります。長い原稿を書く前に、無料の範囲と書き出しの形式を確かめてください。
WordやGoogleドキュメントで脚本は書けますか?
書けます。字下げや1行の字数、行数を設定したテンプレートを作っておけば、柱・ト書き・セリフの書式で書けます。ただし改ページやシーン番号の管理は手作業になりがちで、長い脚本や改稿の多い脚本では、専用のソフトのほうが楽になります。
縦書きで脚本を書けるソフトはありますか?
縦書きや原稿用紙の書式に対応したワープロやエディタがあります。シナリオコンクールに応募する場合は、規定の字数と行数で縦書きの原稿を作れるかを確かめてください。Scenaloomは横書きのアジア形式とハリウッド形式に対応していて、縦書きには対応していません。
おすすめの脚本アプリはどれですか?
書き方によって変わるので、ひとつには決められません。脚本ソフトのおすすめを人に聞くより、自分の書式(縦書き、横書き、ハリウッド形式)で数ページ書き、提出先の形式で書き出せるかを、いくつかのソフトの無料プランで比べるのが確実です。共作が多いなら共同執筆の機能を、スマートフォンで書くならアプリの使いやすさを重視しましょう。
脚本はどのファイル形式で保存しておくのがいいですか?
作業用のファイルに加えて、PDF(読む人のため)と、FountainやWordなどほかのソフトで開ける形式(将来の乗り換えのため)の写しを残しておくと安心です。英語圏とやりとりするならFDXも用意しておきましょう。