ワンシチュエーションの脚本とは、物語のすべてを1つの場所で進める脚本です。新しい景色に頼れないので、葛藤は登場人物から生まれなければなりません。テレビドラマでこの作りの回は「ボトルエピソード」と呼ばれ、映画では密室劇やワンシチュエーション映画と呼ばれます。陪審員室だけで進む三谷幸喜の『12人の優しい日本人』は、日本でよく知られた例です。
ワンシチュエーション(ボトルエピソード)とは
書き手がこの形を選ぶ理由は2つあります。セットが1つなら撮影費を抑えられるという予算の理由と、誰も出ていけないとすべてのセリフが重く響くという圧力の理由です。
緊張はビートごとにどう高まるか
『The Locked Room』の舞台は、止まったエレベーターと見知らぬ3人、そして 14 - 15 を点滅させる表示です。一度も外にカットしません。ビートごとに、ねじを一段ずつ締めていきます。
- 時間。「40分だぞ。助けが来るって言われてから40分」。グレースの「なら、40分近づいたのね」が、彼女を落ち着いた人物として印象づけます。
- 疑い。ルカは腕時計を見て、脇に抱えた小包を見て、また腕時計を見ます。そこでグレースが「それ、カチカチいってない?」と尋ねます。たったひとつの小道具が、見知らぬ3人を容疑者に変えます。
- 賭け金を上げる冗談。「真夜中に時計を届けるやつがいるか?」「遅れてるやつだよ」。笑いが起きたところで、エレベーターが数センチ落ちます。
- 解放に見えて解放ではない結末。扉が開いた先は暗い廊下で、「誰も動かない(Nobody moves.)」。逃げ道はあるのに、そこに残るよりも悪く感じられます。
どの転換も、表示、小包、ケーキの箱と、すでにその部屋にあるものから生まれています。それが密室劇の規律です。小道具は早めに出し、あとで効かせましょう。
低予算で一室ものを書く
マスターとなるシーン見出しを1つだけ使い、時間の経過はト書きで運びます。物語の時間が飛ぶときは、LATER で終わる見出しで場所はそのままに経過を示します。日本のシナリオで「○同・待合室(時間経過)」と書くのと同じです。時間帯の言葉や場所の細分化はシーン見出し(柱)のガイドで説明しています。
INT. 待合室 - LATER 自販機はもう空だ。壁の時計は3時10分を指している。 HARU 10分って言ってたのに。
登場人物は少なく抑え、一人ひとりに外へ出たい別々の理由を持たせ、部屋そのものが変わる瞬間(明かりが消える、扉が開く)を計画しておきます。一室だけの物語では、そうした変化が幕の切れ目になります。
ワンシチュエーションでよくある失敗
- 会話が停滞する。部屋が1つでも、空気まで1つである必要はありません。ビートごとに新しい圧力が必要です。
- 回想に逃げる。部屋の外にカットすると、舞台が積み上げた緊張が抜けてしまいます。
- 必要なときだけ現れる小道具。小包が最後のページで初めて出てきたら、オチはご都合主義に見えます。
やってみよう:一つの部屋、一つの時計
- 誰も出られない空間と、全員に見える締め切りを決めます。
- 外へ出たい理由がそれぞれ違う3人を中に入れ、そのうちの1人に、ほかの2人が信用できない小道具を持たせます。
- すでに部屋にあるものから一段ずつ緊張を高める5つのビートを書き、部屋が開くところで終わらせます。『The Locked Room』を脚本エディタで開き、時計を自分の考えた小道具に置き換えてみましょう。使う要素は書式設定のドキュメントで確認できます。
よくある質問
ボトルエピソードとは何ですか?
ほぼ1つの場所だけで進むテレビドラマの回のことで、多くはレギュラー出演者だけで撮られ、セットやゲスト俳優の費用を抑えるために作られます。登場人物が外へ出られないため、こうした回は内面に向かいやすく、葛藤や人間関係が物語の中心になります。
1つの場所だけで進む映画は何と呼ばれますか?
日本ではワンシチュエーション映画や密室劇と呼ばれることが多く、英語では single-location film、bottle movie、chamber piece などと呼ばれます。chamber piece は少人数のための室内楽に由来する言葉で、狭い場所に少ない登場人物という意味合いも含みます。
場所が1つの映画で緊張感を出すにはどうすればいいですか?
閉ざされた空間に、目に見える時間の制限と、目的がぶつかり合う登場人物を組み合わせます。すでに部屋にある小道具で緊張を高め、外へのカットはできるだけ避け、落下、停電、扉が開くといった要所で部屋そのものを変えると、観客はすべての転換を肌で感じます。
ワンシチュエーションの脚本は新人コンクールに向いていますか?
向いています。登場人物と小道具だけで緊張を組み立てる力がそのまま伝わり、制作費を抑えられることも評価につながりやすいからです。ただし、場所が変わらないぶん、ビートごとに状況を変えないと単調に読まれる点には注意しましょう。