
撮れる映画のネタとは、一文で言えて、ひとつかふたつの場所と少ない人数で成り立ち、最後に何かが変わるアイデアのことです。ここでは、このページのために考えた短編映画のネタを40個、撮影の条件別に並べました。場所ひとつ、二人だけ、セリフなし、ジャンル別、学生の予算向けの5つです。
どのネタも自由に使って、書き換えてかまいません。気になったものを自分の手元の条件(借りられる場所、出てくれる友人、季節)に合わせて変えると、自分の作品になります。後半では、自分でネタを考える方法と、脚本にする前の確かめ方を説明します。
場所ひとつで撮れる映画のネタ
ロケ地がひとつなら、移動も許可もひとつで済みます。自主映画でいちばん現実的な条件です。
- 閉店後のコインランドリーで、他人の乾燥機から自分宛ての手紙が出てくる。
- 引っ越しの前夜、空っぽになった部屋で、元恋人と最後の荷物を分ける。
- 停電した夜のエレベーター。乗り合わせたのは、昼に自分を不採用にした面接官。
- 銭湯の番台で、閉店時間を過ぎても出てこない常連客を待つ。
- カラオケボックスの一室で、解散が決まったバンドが最後の一曲を選ぶ。
- 深夜のファミレス。隣の席の会話が、自分の家族の話だと気づく。
- 台風で閉じ込められた駅の待合室。帰省するはずだった二人が、互いの嘘を見抜く。
- 祖母の家の台所で、レシピのないぬか床の味を再現しようとする。
登場人物が二人だけの映画のネタ
役者が二人なら日程も合わせやすく、会話劇の練習にもなります。二人のあいだで何かが変わるネタを選びましょう。
- 婚姻届の証人欄に名前を書いてほしいと、別れた相手に頼みに行く。
- 認知症の父が、息子を昔の同僚だと思い込んで仕事の相談をしてくる。息子は話を合わせる。
- タクシー運転手と乗客。行き先を告げない客が、同じ場所を三周してくれと言う。
- 卒業式の前夜、口をきいていなかった兄弟が同じ部屋に泊まる。
- 電話相談の窓口。かけてきた相手が、昨日辞めた先輩の声に似ている。
- 落とし物の財布を届けに来た高校生と、受け取りを拒む持ち主。
- 将棋道場で、八十歳の常連が十歳の子どもに初めて負ける。
- 結婚式の二次会の受付を任された二人が、互いに新郎の元恋人だと知る。
セリフなしで撮れる映画のネタ
セリフのない短編は、録音の負担が減るうえ、映像で語る力が鍛えられます。言葉の壁がないので、海外の映画祭にも出しやすくなります。
- 毎朝同じ時間に同じホームに立つ二人が、ある朝、片方だけいない。
- 書道教室の子どもが、どうしても「止め」が書けない一文字を練習し続ける。
- ひとり暮らしの老人が、隣の部屋から聞こえるピアノの練習に合わせて食事をする。
- 雪の朝、誰もいない校庭に最初の足跡をつけようとする小学生と、それを窓から見る先生。
- 閉店する町の写真館で、店主が最後に自分の写真を撮る。
- 迷子の犬を家まで送り届けようとするが、犬のほうが道を知っている。
- 失恋した日の夜、自販機の前で、どの飲み物を買うか決められない。
- 盆踊りの輪に入れない転校生が、輪の外で振りを覚える。
ジャンル別の映画のネタ
ジャンルが決まると、観客が期待する手触りも決まります。短編では、ジャンルの約束をひとつだけ裏切ると印象に残ります。
- ホラー:夜勤の警備員が、監視カメラの映像の中にだけいる「もう一人の自分」に気づく。
- ミステリー:社員食堂から毎日ひとつだけ消えるプリン。犯人探しの果てに見つかるのは、意外な理由。
- SF:一日一回だけ、十秒前に戻れる能力を持った男が、その十秒の使い道に悩む。
- コメディ:お見合いの席に、双方の母親が同じ着物で現れる。
- ラブストーリー:図書館の返却ポストに、同じ本が毎週別の付箋つきで戻ってくる。
- サスペンス:宅配便の不在票に、自分しか知らないはずの暗証番号が書かれている。
- ファンタジー:神社の賽銭箱に入れた願いが、翌朝、別の人の筆跡で返事として届く。
- ヒューマンドラマ:定年退職の日、最後の業務として、自分の名札を外す。
学生向けの映画のネタ
大学のサークルや映像系の学校の課題向けに、キャンパスや自宅、友人だけで撮れるネタです。
- 文化祭の前夜、看板が完成しないクラスに、去年の卒業生が手伝いに来る。
- 就活の面接練習で、互いに面接官役を演じるうちに本音が出てしまうルームメイト。
- サークルの部室で、誰も名前を知らない古いビデオテープが見つかる。
- 期末試験の朝、同じ講義を取る見知らぬ学生と、ノートを交換する約束をする。
- 下宿の大家が、学生に毎晩ひとつずつ、自分の若いころの話をする。
- オンライン授業の画面越しにしか会ったことのない同級生と、初めて会う日。
- 軽音部の解散ライブ。客席にいるのは、たった一人。
- 学食のおばちゃんの最後の出勤日を、誰が一番先に知っていたか。
自分で映画のネタを考える方法
- 手元の条件から始める。借りられる場所、出てくれる人、持っている小道具を書き出し、そこで起こりうる一番おもしろい出来事を考えます。
- 「もしも」を足す。ありふれた日常に「もしも」をひとつだけ加えます。もしもコンビニの店長が、客の顔を全員覚えていたら。
- 身近な違和感をメモする。電車の中の会話、ニュースの小さな記事、子どものころの記憶。毎日ひとつ書き留めると、ネタ帳がたまります。
- 反対のものをぶつける。最も合わない二人、最も合わない場所と出来事を組み合わせます。お葬式で笑いが止まらない人、のように。
- 結末から考える。最後に見せたい一枚の映像を決め、そこに至る出来事を逆にたどります。
脚本にする前にネタを確かめる
ネタを選んだら、書きはじめる前に次の4つを確かめてください。どれかに答えられないなら、ネタを少し変えるか、別のネタにします。
- 一文で言えるか。「誰が、何を求めて、何に阻まれるか」が一行で言えますか。
- 撮れるか。その場所は借りられますか。その人数で、その季節に撮れますか。
- 何かが変わるか。最後に、人物の状況か気持ちが、最初と違っていますか。
- 自分が撮る理由があるか。自分だからこそ知っている場所、人、感情が入っていますか。
ネタから短編映画の脚本へ
ネタが決まったら、ログラインにまとめ、箱書きでシーンを並べ、柱・ト書き・セリフの書式で初稿を書きます。10分の短編ならペラ10枚前後が目安です。手順は短編映画の脚本の書き方で詳しく説明しています。ひとつの場所だけで進む脚本の例は、The Locked Room(英語)で読めます。
Scenaloomでネタを脚本にする
Scenaloomの「新規」ページでは、一行のネタを入力して脚本を選ぶだけで、書式の整ったページからプロジェクトを始められます。シーン一覧、絵コンテ、ショットリストも同じプロジェクトにそろっているので、撮影の準備まで続けて進められます。ブラウザで無料で始められます。無料で書きはじめる
よくある質問
よい短編映画のネタとは何ですか?
一文で言えて、ひとつかふたつの場所、少ない人物で撮れ、最後に何かが変わるネタです。大きな物語の一部ではなく、ひとつの瞬間や関係、決断を深く描けるものが短編に向いています。
映画のネタはどうやって考えればいいですか?
手元にある場所や人から考える、日常に「もしも」をひとつ足す、身近な違和感をメモしておく、合わないもの同士を組み合わせる、結末の映像から逆算する、といった方法があります。ネタ帳を作って毎日ひとつ書き留めるのも効果的です。
学生でも撮りやすい映画のネタは?
キャンパス、部室、下宿、アルバイト先など、自由に使える場所を舞台にしたネタが撮りやすいです。人物は2〜3人に絞り、夜の屋外や大勢のエキストラが要る場面を避けると、少人数でも撮りきれます。
短編映画はどのくらいの長さにすればいいですか?
初めてなら3〜10分ほどがおすすめです。映画祭や課題に上限の分数があることも多いので、応募要項を確認してください。脚本はペラ1枚がおよそ1分の目安です。
このページのネタは自由に使っていいですか?
はい。どのネタもこのページのために考えたもので、自由に使って、書き換えてかまいません。同じネタでも、書き手の場所や人物や経験が入れば、まったく違う作品になります。