手書きのノートと万年筆、紅茶のカップ

小説の書き方の基本は、テーマ・視点(人称)・長さを先に決め、プロットで結末までの流れを作ってから、最後まで一気に書き、時間を置いて推敲することです。初心者は長編より、まず1万字前後の短編を1本書き上げるのが近道です。

このページでは、書きはじめる前の準備から、会話文の約束事、初心者がやりがちなNG、推敲のしかたまでを順番に説明します。ジャンルを問わない基本なので、純文学でもライトノベルでもWeb小説でも同じように役立ちます。

小説の書き方の全体像

小説を1本完成させるまでの流れは、大きく5つの段階に分けられます。どの段階も飛ばさずに通ると、途中で手が止まる原因が減ります。

段階やることつまずきやすい点
準備テーマ、主人公、視点、長さを決める決めずに書き出して迷子になる
プロット出来事を結末まで並べる結末が決まらない
初稿直さずに最後まで書く冒頭ばかり書き直す
推敲構成、文章、表記の順に直す誤字探しから始めてしまう
仕上げ応募先や投稿先の規定に合わせる文字数や書式の確認漏れ

書きはじめる前に決めること

テーマ:この話で何を書きたいか

テーマは立派な主張でなくて構いません。「離れて暮らす親子は、どこで仲直りできるのか」のように、自分が答えを知りたい問いの形にしておくと、迷ったときの判断基準になります。あわせて主人公を1人決め、その人が物語の最初と最後でどう変わるかを一文で書いておきましょう。

視点と人称

一人称(「私」「僕」が語る)は主人公の心の中を書きやすく、読者が感情移入しやすい書き方です。三人称(「彼」「彼女」や名前で書く)は場面を外から描けるぶん、複数の人物が動く話に向いています。

三人称でも、ひとつの場面では一人の人物の目線に絞る「三人称一元視点」が、初心者には扱いやすい方法です。場面の途中で別の人物の心の声に移ると、読者はいま誰の話を読んでいるのか分からなくなります。

長さ

長さは文字数で決めます。新人賞や投稿サイトは、規定を「文字数」か「400字詰め原稿用紙換算の枚数」で示すことが多いので、書く前に確認してください。正式な定義はありませんが、ショートショートは数千字まで、短編は1万〜3万字ほど、長編は10万字前後からそれ以上を指すことが多いです。

小説を書く手順

  1. 一行で物語を言えるようにする。「誰が、何を求めて、何に阻まれ、どうなるか」を一文にまとめます。ここが書けないうちは、まだ書きはじめる段階ではありません。
  2. 主人公と相手役の設定を作る。名前や外見より先に、目的と弱点を決めます。項目の決め方はキャラクター設定の作り方で詳しく紹介しています。
  3. プロットを作る。物語が動くきっかけ、後戻りできない決断、中盤の転換、どん底、結末を並べ、その間を場面で埋めます。手順はプロットの書き方を参考にしてください。
  4. 書き出しの場面を決める。主人公の日常の説明からではなく、何かが少しずれた瞬間から始めると、読者を引き込みやすくなります。
  5. 初稿は直さずに最後まで書く。気になる箇所には印だけ付けて先へ進みます。結末まで書いてはじめて、冒頭で何を準備すべきだったかが分かります。
  6. 時間を置いてから推敲する。書いた直後は自分の文章を客観的に読めません。少なくとも一晩は空けましょう。
  7. 応募先や投稿先の規定に合わせて仕上げる。文字数、書式、あらすじの有無などを最後にもう一度確認します。

短編小説の書き方

短編小説の書き方のコツは、扱う出来事と人物の変化をひとつに絞ることです。長編を縮めたものではなく、ひとつの場面や一晩の出来事を深く掘る形式だと考えると書きやすくなります。

  • 登場人物は2〜3人に絞る。名前のある人物が増えるほど、一人ひとりを描く字数が足りなくなります。
  • 場面は3〜5つほどにする。場所や時間が飛ぶたびに、説明の字数が必要になります。
  • 事件の直前か直後から始める。前置きを書く余裕はありません。
  • 結末を最初の場面と呼応させる。冒頭に出てきた物や台詞が最後に別の意味を持つと、短い話でも読後感が残ります。

構成は起承転結の4つに分けると、短編の長さにちょうど収まります。1万字の短編なら、起と結を短めにして、承と転に多く字数を割くと中盤がだれにくくなります。

会話文と地の文のルール

日本語の小説には、学校の作文とは少し違う表記の慣例があります。新人賞に応募するなら、次の基本を押さえておけば、読みにくさで損をせずに済みます。

ルール書き方例
段落の頭地の文は行頭を1字下げる行頭に全角スペースを1つ入れる
会話文「」で囲み、話し手が変わるごとに改行する「行ってきます」
会話文の頭「の前は字下げしない「ただいま」
閉じかっこ」の直前に句点を付けないのが一般的「わかった」
会話の中の引用『』を使う「母が『早く帰れ』って」
三点リーダー2つ続けて2字分で使う「それは……」
!と?後ろに文が続くときは1字空ける「本当? 嘘でしょう」

ダッシュ(長い横棒の記号)も三点リーダーと同じく、2つ続けて2字分で使うのが慣例です。ただし多用すると文章が途切れがちに見えるので、ここぞという場面に絞りましょう。

地の文は、会話の合間に人物の動きや場の様子を書く部分です。会話文が5つも6つも続くと誰の発言か分からなくなるので、ときどき動作の一文をはさんで話し手を示します。逆に、地の文で気持ちをすべて説明してしまうと、会話の意味が薄れます。

初心者がやりがちなNG

小説の書き方でよく指摘されるNGは、才能の問題ではなく、知っていれば避けられるものがほとんどです。

  • 冒頭で世界観や人物の説明を長々と書く。説明は、物語が動きはじめてから必要な分だけ出せば十分です。
  • 視点がぶれる。一つの場面の中で、何人もの心の声を書いてしまう。
  • 文末が「た。」ばかりで単調になる。「〜る。」の形や体言止めを混ぜてリズムを変えます。
  • 「〜と思った」「〜と感じた」を繰り返す。思ったことは、行動や台詞で見せたほうが伝わります。
  • 登場人物が多すぎる、名前が似ている。名前に迷ったら名前ジェネレーターで候補を並べてみてください。
  • 書き終える前に冒頭ばかり直して、いつまでも完成しない。
  • ピンチを偶然で解決する。主人公が自分で選び、行動して乗り越える場面を用意します。

推敲のしかた

推敲は、一度にすべてを見ようとせず、大きなところから小さなところへ順番に直すと効率が上がります。

  1. 全体を通して読み、場面の順番や不要な場面を見直す。この段階では文章の細部には手を付けません。
  2. 場面ごとに、目的と変化があるかを確かめる。何も変わらない場面は削るか、ほかの場面とまとめます。
  3. 文を整える。長すぎる文を分け、同じ言葉の繰り返しや、主語と述語のねじれを直します。
  4. 表記をそろえる。「出来る」と「できる」のような表記ゆれ、誤字脱字、記号の使い方を確認します。

声に出して読むと、息が続かない長い文やリズムの悪いところがすぐに分かります。文字の大きさを変えたり印刷したりして、いつもと違う見た目で読むのも効果的です。

書く道具の選び方

小説はメモアプリでもワープロでも書けます。新人賞に応募するなら、規定の字数と行数で縦書きの原稿を作れるワープロが便利で、Web小説なら投稿サイトの執筆画面だけで書き上げる人も多くいます。長編になり、章の並べ替えや設定の管理が必要になってきたら、執筆専用のアプリを検討しましょう。選び方は小説を書くアプリの選び方でまとめています。

Scenaloomの小説プロジェクトで書く

Scenaloomはブラウザで使える執筆ソフトで、脚本だけでなく小説も書けます。小説プロジェクトでは章ごとに本文を書き、章を並べ替えながら全体を組み立てられます。登場人物や場所、世界観はストーリーバイブルに整理しておけます。

AI執筆ツールには「続きを書く」「書き直す」「描写」「膨らませる」「アイデア」「フィードバック」があり、選んだ文章や章など、使う範囲を自分で決めて呼び出します。AIの返答はあくまで提案で、適用するまで本文は変わらず、適用した変更はバージョン履歴に残ります。

縦書きや原稿用紙の書式には対応していないため、応募原稿の体裁は応募先の規定に合わせて整えてください。無料プランはカード登録なしで始められます。無料で小説を書きはじめる

よくある質問

小説はパソコンとスマホのどちらで書くのがいいですか?

長く書くならパソコンがおすすめですが、スマホでも小説は十分に書けます。移動中に短い場面をスマホで書き、推敲は大きな画面のパソコンで行うなど、使い分ける人も多いです。

初めての小説は何文字くらいを目指せばいいですか?

最初は5,000〜1万字ほどの短編を目指すのがおすすめです。結末まで書き切る経験を先にしておくと、長編に挑むときのペース配分が分かります。

小説の書き方の本は読んだほうがいいですか?

1冊読んでおくと役に立ちますが、読むだけで書けるようにはなりません。まず1作書いてみて、つまずいた点を本で確かめる順番のほうが身につきやすいです。

一人称と三人称、初心者に向いているのはどちらですか?

主人公の気持ちを中心に書くなら一人称が書きやすく、登場人物が多い話なら三人称が向いています。迷ったら、主人公の目線に絞った三人称一元視点で書くと、両方の良さを生かせます。

書き出しが思いつかないときはどうすればいいですか?

書き出しは後回しにして、書ける場面から書いて構いません。初稿を最後まで書いてから物語に合う最初の一文を考えるほうが、うまくいくことも多いです。

ScenaloomのAIは小説を自動で書いてくれますか?

いいえ、作品を丸ごと書くためのものではありません。続きや書き直しの案を提案するだけで、本文に反映するかどうかは毎回あなたが決めます。